| レイハルさん、おはようございます。 小暮政次全歌集、届きました。パソコンで読むのは少し難儀ですが なにより歌がすばらしいので、そんな苦労はものともせず。 二千首と少し読みました。まだまだ楽しめる・・。
小暮短歌については一言でいうのはむつかしい。普通の短歌だと これは外面的な描写とか、これは内面的な描写とか、はっきりと しないまでも分別することは可能なのですが、小暮さんの歌に ついてみると、そのように分かりきったものではなくて、一首の なかで外面と内面、自然の景と心とが不思議とつながっている。 ねじれていると言うべきなのでしょうか。そういう歌はややもすると 内面的な独白に帰する恐れがあるのですが、彼の場合、読めば 確実なリアルがある。どういうメカニズムからこのリアル感が 生じるのかと不思議に思うのですが。このリアル感はまさしく 写実のものという感じがします。文明直系なのでしょうが、明らかに異質。
レイハルさんに言われて「土屋文明歌集」(岩波文庫)を購入。 ほぼ読み終えました。写実の「実」というのは結局己と自然との 間の距離感、それを自覚していることを指すのではないかと。 漠然ですが。その点が、茂吉と文明とを隔てる最たるものだったのでは ないかと思われます。
終わりに小暮氏ではなく、文明の歌で好きな歌を。
意地悪と卑下とをこの母に遺伝して一族ひそかに拾ひあへるかも 土屋文明
これも写実なのでしょうね。 自然とは草木のみのことではありませんから。 ではでは。
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